​2・2(フツー)プロジェクト 

~ 我が子の健やかな未来のために、親が今どう向き合っていくのか ~  (親の取り組みの記録) 

「できる!」を目指して 

2020.4.10

<序論>

このプロジェクトの話をはじめて先生からうかがったとき、ずっとやりたかったけど逃げていたことだと思いました。子どもと真剣に向き合い、ひとつひとつ結果を出していくことは困難です。でもやらないと親子とも年をとっていくので、積極的に取り組むことにしました。

そんな最中にこのコロナ騒動…状況は悪くなるばかりですが、学校が短縮され親子の時間が増えた好機ととることもできます。

 

<Kの現状>

小学校6年生(11歳) 男児

診断名;広汎性発達障害 自閉症 知的障害

IQ;40

 

<目的>

なめらかに会話できるようになること

①発音

②速度

③思っていることを言葉や文章で発することができる

以上3点に絞って取り組みました。

 

今回特に重点を置いたことは③です。

日頃Kの生活を観察していると、思っているだろうけど言ってこないな、と思うことが多々ありました。語彙が足りない訳でもないだろうし、発音は悪いとはいえ発語は十分にある。発するタイミングと発する模範となる文章を教えることで、ほかに派生していくのではないかと考えました。

願望や困り感を言葉で伝えるということは、人間として生きていくための必須のアイテムです。待っているだけではよく知っている人以外は察してくれません。言葉で伝えると人は動いてくれる、ということを教えたかったのです。

 

<課題>

①②発音、速度

 口形のみするのではなく、文章の中で正しい発音をするように指導しました。「あいうえお」から始まる50音を正確に発音することを教えるよりも、言葉や文章の中で正確な音を発することを目指しました。

 ・毎日1話教科書音読

 発音がおかしいところはつど直し、速度は背中をとんとんしながら遅くならないように促しました。

 毎日続けていくと読むことに自信がつき、やりなさいといわなくても自分から音読するようになってきました。

・歌を歌う

 言葉をフレーズの中に収める訓練のために歌を使いました。

 好きなおかあさんといっしょの中の歌を何曲か選んで親子で歌いました。

 

★取り組む過程で気づいたこと

(発音を明瞭にするために)

 口先だけで言葉を発していることが聞き取りにくい原因の一つと考え、口を大きく開けはっきりと発音する必要を感じました。

 そのため毎日口の体操をすることを追加しました。

 Kは咀嚼が弱く食べ物を丸のみする傾向があります。顔の筋力の不足が原因で咀嚼が弱いとの指摘を九重先生から指摘され、表情筋の強化も兼ねています。

 表情筋がついてくると顔の表情が豊かになり、より人とのコミュニケーションが取り易くなると考えます。

 また口の体操をすることで口元が締まり、口呼吸が減少します。そうすると口から病原菌が入ることが少なくなり、病気にかかることが少なくなります。合わせて口呼吸をやめると免疫系の異常が起こりにくくなり、アレルギー症状が改善される、という傾向があります。

 

<①発音②速度の取組結果>

 取組前は文章の切れ目がわからず聞き取りにくかった音読が、文節ごとに読むことができるようになり、何を読んでいるのかわかるようになりました。それに伴い読むことに自信が付き、読む速度が上がり、以前よりも一語一語をはっきりと読めるようになりました。とはいえまだ完ぺきではないため今後も引き続き課題に取り組んでいきたいと思います。

今回「さ行」の発音が直らなかったため(例;ました→まちた)「さ行」は重点的に直すように特訓します。

 

③思っていることを言葉や文章で発する 

                                   

・本人が言いたいことを紙に書き言わせる

 

(一事例より)

Kはお風呂の後にスマホで動画を見ることを楽しみにしています。毎日5分と時間を決めていて、律儀にタイマーが鳴るときちんと終わっています。時間を延長してくれと全く言ってこないので、「もうちょっと見たいから延長して」という言葉を紙に書いて、言えたらスマホを見る時間を延長してやりました。非常に喜び翌日には紙がなくても言えるようになりました。頼むときに目をそらしてしまうので、合わせて人に頼むときは言葉を棒読みするのではなく目を見てお願いする態度を取って頼まないといけない、ということも教えました。これはなかなか身につかず今でも毎日目を見て言って、と伝え続けています。

 

<③紙に書いて言わせる課題の取組結果>

紙に書いて言わせる、という何のひねりもないシンプルな方法ですが、口頭でこう言ってと伝える場合や、「なんていうのかな?」と自分で言葉を考えさせていたころに比べるとはるかに定着率がよかったです。この2か月間紙に書いた言葉は8パターンですが、100%定着しました。目から入る情報の方が入りやすい、というKの性質にも合致したから、という理由もあると思います。

 

<取組後の変化>

自分の意思が人に通じたということは自信になったようで、朝の学校の準備を自分からさっさとするようになったり、朝7時ごろになると起こさなくても自分で起きてくるようになったりしました。

これはこの取り組みによる変化かどうかはよくわかりませんが、お兄ちゃんによく絡むようになりました。今までは大人と交流する方が好きで暇さえあれば、祖父母の部屋へ行き、時間を過ごしていましたが最近まったく行かなくなりました。代わりにお兄ちゃんにちょっかいをかけ、何かと話しかけるようになり、普通の兄弟関係に近づいたように思います。

 

<今後の展開>

①Kの言いたいことを親が予測して紙に書いて言わせる

→自分から言いたいことを文章にして自ら言う

→会話が成り立ってくれば、意味のなり同じことを繰り返し言うことをやめる

②友達と雑談できるようになる

→天気のことや自分の好きなことを他人に話せるようになる文カードを作る

→話のバリエーションを増やすためにはどうすればよいのかに課題がある

 

<③の問題点>

 とっさの一言を紙に書くわけにはいかないので、使える場面は毎日繰り返し行っていることに限定されます。今後はより広範囲な会話に結び付ける必要があると考えます。

この方法は実験途中の過程のため、今後は決まり文句だけではない、より長い会話につながるような展開を考えていきたい。